ザ・グランドファーザー : おじいちゃん

the grandfather

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2005.02.17

_ [小説][感想]野尻抱介/太陽の簒奪者

本: 太陽の簒奪者ハヤカワSFシリーズ Jコレクション 白石亜紀、高校2年生、天文部員。2006年11月9日、彼女が観測した水星は、異様なシルエットを形作っていた。自身の質量を太陽に向かって投射し続ける、巨大なマスドライバー基地と化した水星。投射された質量は太陽を中心とする円軌道に集まり、太陽を取り巻く直径8000万kmのリングとして形を成し、その巾は毎日50kmづつ増していった。成長し続けるリングによって年間日照の10%を遮られた地球環境は激変、人類は未曾有の危機に直面した。2017年、白石亜紀は有人宇宙船によるリング破壊ミッション"ヴァルカン計画"に応募する。誰が、何故、何のために、ここに、こんなものを。好奇心に胸を高鳴らせて。
折り目正しい、超ストロング・スタイル。万事、ひねくれて傍流じみた物を好む自分の性向のせいもあるだろうけれど、こういう、まっすぐにリアリティを積み上げて巨大な状況を組み立てる、トールでハードなニュアンスの作品を国内作家が書いているのは、嬉しい新鮮さがある。搦め手刺激を先鋭化させた作品はもちろん好きだけど、それだけじゃお腹が空くわというか。科学への啓蒙的な視線や、壮大なビジュアル、映像作品的な、言葉足らずなほどの急展開、あとそもそも宇宙絡みのファーストコンタクトとしての手つき、正しい理系ぽさに、読んですぐカール・セーガンの『コンタクト』を思い出す。エイリアンとの接触周りは、『コンタクト』の成果を踏まえた上で、しっかり別の切り口を構築していて、具合がいい。えーと、『コンタクト』もそうだったのだけれど、人類側の描かれ方がわりと理想に対してあからさまというか、人類代表過ぎるきらいはあって。作品としてのフォーカスの絞り様でもあるのだろうし、不用意に描けばテンポも損なって物語の軸をブラす結果になることを想像もするのだけど、人類を亜紀ちゃん一人に抽象化する際に零れ落ちたものがちょっと多かったというか。いや、むしろ積極的にそういうメタファーというか、仮託を排除している? その辺り、もう少し頁があってもよかったかもしれない。でも、年オーダーでどんどん時間が経っていくこのハイテンポが状況のスケール感を増してるのも確かだし、ディテールとのトレードオフになるのか。
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